究極の日本語入力?「親指シフト」とは

親指シフト

日頃から多くキーボードの入力をこなしていると、手首に強い負荷がかかります。「体に優しく、しかも入力スピードが向上するような、効率的な入力方法を身に付けたい……」そう考えた僕は親指シフトを導入しました。ライター業を始めて1年以上経った頃のことです。今回の記事では、そもそも親指シフトとは?どうやったら使えるの?などの基本的なことについて解説します。続く記事では2年間使った感想も述べますので、リアルな体験談を知りたいという人はそちらをご覧ください。

親指シフトとは?

親指シフトは日本語入力に特化したキー配列です。速く、かつ自然に日本語の文章を書くために開発されました。極めると「指がしゃべる」ような感覚を得られるそうです。

かな入力同様、1回の打鍵(キーボードをたたくこと)で日本語のかな1文字を入力できます。違いはひとつのキーに複数の文字が割り当てられていることです。左親指シフトキーまたは右親指シフトキーを同時に打鍵にすることで、1つのキーに濁音や半濁音も含めて3つの音を担わせています。

例えばローマ字入力における「J」を親指シフト環境で単独打鍵すると「と」が入力されます。右親指シフトキーと同時打鍵すると「お」が、左親指シフトキーと同時だと「ど」に変わります。次の画像がキー割り当て表の例です。

親指シフトキー配列表(NICOLA配列)

出典:Wikipedia

この表の場合、打鍵するキーと同じ側の親指シフトキー(シフト/濁音と書いてあるキー)を同時打鍵すると、各キーの上に書かれた文字が入力されます。単独打鍵したときに入力されるのは、下に書かれた文字です。反対側の親指シフトキーと同時だと、下に書かれた文字に濁点が付きます。

親指シフトにはいくつかバリエーションがあり、細かい部分で配列が異なります。上記の画像はNICOLA配列です。おそらく最もよく利用されている仕様だと思います。僕も使っています。

親指シフトによる理論上のスピード

かな入力では濁音(゛)や半濁音(゜)も1つの文字として扱うため、入力には2回の打鍵が必要です。親指シフトでは同時打鍵により1回で済みます。そのため、より少ない打鍵数による日本語入力が可能です。

必要な打鍵数から導いた理論上のタイピングスピードは、ローマ字入力を1とすると、かな入力が1.7、親指シフトが1.8といわれています。このことを何かのサイトで読んだとき、親指シフトの導入を決意しました。出会ったときの第一印象は「究極の日本語入力ではないか!」です。

この理論を確かめるため、実際に文字入力して打鍵数を数えてみました。課題のテキストは、いろは四十七文字です。 濁音や拗音(「ぁ」や「ゃ」などの小さい文字)も考慮するため、現代仮名遣いで入力しています。

入力した文字の下に書いてある「打鍵数」は打鍵した回数です。「述べ打鍵数」は打ったキーの数で、例えば2つのキーを同時打鍵したら2と数えます。

【ローマ字入力】
Irohanihoedo tirinuruwo wagayodarezo tunenaramu 
uinookuyama kyoukoete asakiyumemiji eimosezu  
打鍵数 85
述べ打鍵数 85
【かな入力】
いろはにおえと ゛ちりぬるを わか ゛よた ゛れそ ゛ つねならむ 
ういのおくやま きょうこえて あさきゆめみし゛ えいもせす ゛
打鍵数 54
述べ打鍵数 54
【親指シフト】
いろはにおえど ちりぬるを わがよだれぞ つねならむ 
ういのおくやま きょうこえて あさきゆめみじ えいもせず 
打鍵数 48
述べ打鍵数 78
筆者作成

打鍵数はローマ字入力が85回、かな入力が54回、親指シフトが48回でした。ローマ字入力で日本語を100文字入力するあいだに、かな入力なら157文字、親指シフトなら177文字も入力できることになります。先ほどの理論値に近い結果が出ました。

実際に入力する際には、キー配列への慣れや運指の流れによってもスピードは変わってくるので、理論どおりの結果が出るとは限りません。ただ少なくとも、一定の効果は期待できるような気がします。述べ打鍵数については次の記事(感想)で述べます。

親指シフトの導入方法は?

あいおえお表と初心者マークの写真

親指シフトの導入方法をお伝えします。具体的な作業については別に記事を書きますが、ここでは「誰でも無料で簡単に使える」ということを知っていただければ幸いです。

親指シフト専用キーボード

親指シフトには専用キーボードがあります。特徴はまず、一般的なキーボードにおけるスペースキーが左右2つに分かれていること。そしてその下に変換キー・無変換キーがあることです。富士通から発売されているこのキーボードをパソコンに接続し、専用のソフトウェアをインストールすることで、親指シフトを利用できます。これが最もオーソドックスなスタイルといえるでしょう。

もともと親指シフトは富士通が自社のワープロ製品に搭載するため開発した入力方法です。僕は純正キーボードを使ったことがありませんが、最も真価が発揮できる方法のはずです。

しかし専用キーボードはいいお値段。定価だと3万円ほどします。旧モデルでも1万円は下らないでしょう。そのうえ2021年に販売が終了、それに伴いサポートも切れてしまいます。「試しに使ってみたい」という人にとってはリスクが高い選択です。

無料の変換ソフトを使うのが一般的

親指シフトを試してみたい人におすすめしたいのは、「エミュレーター」と呼ばれるキーボード配列変更ソフトです。インストールして簡単な設定を行えば、普段から使用しているキーボードのまま、親指シフトのキー配列に変更できます。無料ソフトの「やまぶきR」と「DvorakJ」が有名です。

僕は導入当初からずっと「やまぶきR」を使っています。これしか経験がないので他と比較することはできませんが、動作は常に安定しており、カスタマイズも簡単です。ただしウェブブラウザのInternet Explorerでは使えません。

やまぶきRのダウンロード(Vector)

汎用キーボードを親指シフト化するデバイス

汎用のキーボードを親指シフト化する装置もあります。「かえうち2」は外付けキーボードとパソコンをつなぐUSBの間に入れることで、親指シフト機に変身させるデバイスです。ソフトのインストールは不要で、Windows・Mac・Linuxで利用できます。僕の現状からは必要性を感じていませんが、面白い製品だと思います。

かえうち2

理論上は最も効率的な日本語入力システムの親指シフト

親指シフトでは理論上、ローマ字入力の1.8倍ものスピードでの日本語入力が可能です。しかし何事も青写真のとおりになるとは限りません。実際に2年間使ってみた感想を次の記事で伝えるので、興味があればご覧ください。

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