親指シフト2年後の感想!思ったよりも・遅い・痛い・でもめげない

親指シフト

一日中キーボードを入力し続けることの多いライター業。手首へかかる負担は尋常ではありません。「キーボードをたたく数を減らせれば、手の痛みは和らぐだろう。仕事の効率も上がるはずだ」。こう考えて僕は日本語専用の入力方法である「親指シフト」を導入しました。2年間使ってみた感想をお伝えします。親指シフト?何それ?という方は前回の記事をご覧ください。

僕が親指シフトを導入した目的

僕が親指シフトを導入した目的は2つありました。ひとつは執筆スピードを速めるためです。ライター業は記事一本なんぽの世界。たくさん仕事をこなして、もっともっと稼げるようになりたいという素直な(?)気持ちです。

もうひとつの目的は手首の痛み対策でした。一日中キーボードに向かう日が続くと、どうしても手や指に強い負荷がかかります。痛みで仕事が進まないことがあり、悩みの種でした(僕は腱鞘炎かと思っていましたが、別件で訪れた整形外科の先生に「違う」と一刀両断されました)。アイシングやマッサージなどで対症療法な対応をしていましたが、根本的に負荷を軽減する方法はないかと探していたのです。

新しい入力方法に変えることには迷いがありました。初めてパソコンを触って以来、ローマ字入力には20年来の親しみがあります。しかしライターの仕事を続けていくのであれば、痛みの問題は解決しなければなりません。親指シフトに切り替えたことで上手くいくとは限りませんが、可能性にかけてみることにしました。

導入から2年経った現時点での感想

導入効果やデメリットなど、2年が経過した現時点で感じたことを記します。

「導入目的1:執筆スピード向上」今は遅いがこれから伸びる予感

現在の僕のタイピングスピードは親指シフトとローマ字入力で同じくらいです。親指シフトを導入したことで「執筆の速度が上がった!」と胸を張って言えるような手ごたえは、まだ感じていません。ポテンシャルは感じています。

導入から1年後と2年後に、ローマ字入力と親指シフトで文字の入力を行い、1分間で入力できた数を計測してみました。1年後の結果はローマ字入力がわずかに上回っています。2年後は数回集計し、初めのほうは親シフトの速さが目立っていたもの、だんだんとローマ字入力が追いつくようになりました。数値を見ると、1年前のローマ字入力の記録とそれほど変わりません。どちらかというとローマ字入力が衰えた結果といえます。何度か練習していくうちにローマ字入力のカンを取り戻し、最終的には親指シフトを抜き返しました。

ちなみに僕は初めてパソコンを触って以来、20年以上のローマ字入力ユーザーです。親指シフト導入当初におけるローマ字入力のスピードは1分間に300打鍵ちょっと(タイピング練習用のサイトで練習していました)。もし親指シフトで同じ打鍵数を出せれば、音声入力並みのスピードが出せるはずです(人がしゃべるスピードは1分間に200から300文字といわれています)。テープ起こしがリアルタイムでできてしまいますね。

親指シフトでいまいちスピードを発揮できないのは、まだ指が「単語を覚えていない」状態だからかもしれません。ローマ字入力の入力速度が飛躍的に伸びたときは、指が単語を覚えているような感覚がありました。例えば「お世話になっております」と入力するとします。「o,s,e,w……」と1文字ずつ打鍵しているとあまりスピードは出ません。キーの位置をほとんど意識することなく、指が自然と正しい順序でタイピングをするようになると、非常に速く入力できます。体得するためには、とにかく繰り返し入力する必要があります。

考え方を変えると、20年以上使って身体に染み付いたローマ字入力に2年で追いつき、一時的に追い越したのですから、 親指シフトの入力方法自体はやはり優れているのかもしれません。1年後にはローマ字入力の限界を超えたスピードを身につけている可能性もあります。 この2年間はキー配列を覚えるのにいっぱいいっぱいという感じでした。スピードを意識して打鍵していけば、さらに速くなるのではないでしょうか。

「導入目的2:手首の疲れ解消」痛い!

腱鞘炎対策については、「プラマイゼロ、むしろマイナス」というのが正直なところです。導入から今まで2回ほど、非常に強い手首の痛みを感じた時期があります。タイピングを続けるのが難しくなったほどです。

1回目は導入当初で、キーボードやマウスを変えたり、 整体院で診てもらったりと工夫しましたが、仕事量はかなり落ちたと思います。2回目はごく最近のことです。ライターの仕事以外にもさまざまな事務作業などでキーボードを入力する機会が増えたことが原因だと思います。以前使っていた音声入力もあまり使わなくなっていました。

ひとくくりに手首の痛みといっても、ローマ字入力のときとは違う部分です。親指の付け根の部分に鋭い筋肉痛のような痛みを感じます。ローマ字入力では手の甲が張るような痛みでした。

先ほど3種類の入力方法における打鍵数の違いを確かめるために、いろは47文字を入力しました。打鍵数はローマ字入力の85に対して親指シフトは48と、圧倒的に少ないといえます。しかし「述べ打鍵数」はローマ字入力が85、親指シフトは78と、大きな差はありません。親指シフトには同時打鍵があるためです。キーを押さえる数はあまり減らないので、手首にかかる負担はそれほど軽くならないのかもしれません。むしろ親指に集中して負担がかかるため、強い痛みを抱えるようになったのだと思います。

現在、この痛みは克服しつつあります。対策は①手首をテーピングで固める、あるいはサポーターをつける②整形外科に通って薬をもらう③キーボードに工夫をし、右親指シフトキーの位置を広げる(詳しくは別記事で記します) ④姿勢を改善する⑤音声入力を使う などです。

ローマ字入力をそのまま使っていても、同じような状況になったかも知れません。ただ、これだけは言えます。僕の場合は、親指シフトの導入で手首の痛みは解決できませんでした。

ただあくまでも感覚的なものですが、親指シフトの痛みは努力で解決できそうな気がします。ローマ字入力における手の甲の痛みは腱がつるような感じで、どうしてもタイピングが続けなくなることがありました。親指シフトのほうは筋肉痛に近く、工夫すれば何とかなりそうです。主観が入っているのかもしれませんが……。

筋肉の付き方やタイピングの癖など、個人差があるのかもしれません。あるいは専用のキーボードを使っていたらマシな状況だった可能性もあります。少なくとも、親指シフトは万人におすすめできる入力方法ではないというのが現時点での結論です。

意外な効果:日本語の読み書きが自然に?

親指シフトに慣れてから、文章を考えることや他人が書いた文字を読むことが楽になった気がします。

ライター業を始めて間もない頃、新聞や雑誌などを読むスピードが非常に遅くなったことがあります。今思うと、無意識に頭の中でローマ字に変換していたのかもしれません。

親指シフトを身につけてからは、日本語が直接的に紙面や画面と頭の中を行き来するような感覚があります。「指がしゃべる」感覚に近いのかもしれません。 正直、本当のところは分かりません。でも、日本語と素直に接している感覚が心地よいせいか、ローマ字入力に戻したいとは思えないのです。

僕の親指シフト習得方法

ここまで読んで親指シフトに興味を抱いた方はなかなかの物好きだと思います(失礼)。参考までに僕の習得方法をお伝えします。

覚え始めの3か月は気が向いたときに練習する

はじめの3か月程度は、「無理をせずにキー配列を少しずつ覚える」がテーマでした。キー配列表をプリントアウトし、パソコンの横に立てて置き、チラチラとカンニングしながらタイピングします。それも気が向いたときだけです。短い文章やメールの冒頭部分のみなど、自分なりに小さな目標を作って少しずつ練習していました。3か月くらいでなんとか五十音は覚えましたが、半濁音や拗音(「ぁ」や「ゃ」)がなかなか覚えられません。規則性がほとんどないか、とても分かりづらいのです。今でもよく分かりません。

音声入力と併用して身に付ける

取材後のテープ起こしをする際、録音内容を復唱して音声入力する「リスピーキング」を行います。その際、変換ミスや認識ミスを修正するときに親指シフトを使っていました。この作業でそれなりにスピードが身に付いたと思います。

あるていど慣れたら「拡張親指シフト」でカスタマイズ

導入から2年が経ち、慣れてきたので少し工夫をしようと思い立ちました。僕が使っているエミュレーターの「やまぶきR」は簡単にキー配列を変えることができます。無変換キーに「拡張親指シフト」割り当て、エンターキーやF7キー、カーソルキーなどを素早く操作できるようにしました。かなり入力が楽になりましたが、かえって手首への負担を強めたような気もします。イケイケになりすぎず、マイペースを保つことが大事なのかもしれません。

無理して親指シフトを取り入れる必要はない

親指シフトの特長は、頭に浮かんだ日本語が素直に入力できることにあります。現時点では期待していたほどの入力スピードは得られませんでしたが、高いポテンシャルを感じています。僕の場合は、親指の付け根辺りに非常に強い痛みがあり、「親指シフトを導入して本当に良かった」とは言い切れません。興味がある人は、無理せず少しずつ体験してみるのがいいでしょう。合わないと思ったらすぐやめるのも、体調管理には必要です。僕は日本語を直接あつかえる感覚と、拡張親指シフトによるカスタマイズ性が気に入っているので、腱鞘炎対策をしながら使い続けます。そして1年後には音声入力並のスピードを手に入れている……かもしれません。いずれにせよ、また経過を報告します。

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